放送大学も無償化の対象? 多子世帯の学費と社会人向け支援【2026年版】

「放送大学で学び直そう。」の見出しと、パソコンで学ぶ人、本、ノートとコーヒーの写真コラージュ
写真素材:George Milton・Hanna Pad / Pexels(利用許諾)。素材写真をAIで合成・文字入れしたイメージです。

※2026年11月1日確認。放送大学・JASSO・厚生労働省の公式案内をもとにしています。進学する年度の条件と申請期限は、大学の最新の案内を確認してください。

放送大学の学費は、現在の金額で入学から卒業まで76万8,000円が一つの目安です。それでも、家計から出すとなると小さなお金ではありません。

実は、放送大学も国の「高等教育の修学支援新制度」の対象大学です。前の記事では制度の存在を短く紹介しましたが、使える人の条件と自己負担額までは説明できていませんでした。今回は、そこを詳しく見ていきます。

最初にお伝えしたいのは、「無償化の対象大学」と「自分の学費が全部ゼロになる」は同じではないということです。特に、大学卒業を目指す人と、働きながら特定の科目を学びたい人では、調べる制度が違います。

卒業を目指す人と、仕事のために学ぶ人で制度を分けよう

放送大学の学部で検討できる主な支援
制度 主な対象 支援の内容
修学支援新制度の多子世帯支援 全科履修生で、多子世帯などの条件を満たす人 入学料24,000円、授業料年130,000円まで減免。所得制限なしでも、ほかの条件はある
家計に応じた修学支援新制度 全科履修生で、所得・資産・学業などの基準を満たす人 支援区分に応じた授業料等減免と給付奨学金
一般教育訓練給付制度 選科履修生・科目履修生で、雇用保険などの受給資格を満たす人 指定講座の対象経費の20%。上限10万円、最大1年分

多子世帯の無償化は、修学支援新制度の中にある支援です。表の上2つを別々に申し込んで、授業料の減免を二重に受ける仕組みではありません。また、学部の選科履修生や科目履修生は、修学支援新制度の対象ではありません。

⇒ 放送大学:高等教育修学支援新制度
⇒ 放送大学:教育訓練給付制度

多子世帯なら、授業料は年13万円まで減免される

2025年4月から、扶養する子どもが3人以上いる多子世帯への授業料等減免に、所得制限がなくなりました。放送大学の案内では、入学料は24,000円、授業料は年間130,000円が上限です。

入学料は入学時の1回分です。授業料も、上限まで現金が一律に支給されるのではなく、対象となる学費が減額・免除されます。支援区分が途中で変われば、実際の額も変わります。

また、授業料の減免を受けても、給付奨学金が必ずもらえるわけではありません。所得や資産によっては、授業料等減免だけになります。家賃や食費まで用意できたつもりで計画しないようにしましょう。

⇒ 放送大学:支援額と新規申請の案内

4年間で22万4,000円になるのは、どんな場合か

1年次から入り、4年間ずっと減免の条件を満たした場合を計算してみます。現在の学費で124単位を修得し、毎年13万円の減免を受けられるだけの対象授業料がある、という仮定です。

4年間、減免上限額を利用できた場合の試算
通常の入学料・授業料 768,000円
− 入学料の減免 24,000円
− 授業料の減免 130,000円 × 4年
減免後に残る学費
224,000円
減免額54.4万円 / 自己負担22.4万円
1年次入学で124単位を修得し、4年間、各年の授業料13万円と入学料2.4万円が全額減免されると仮定。給付奨学金・大学独自の奨学金は差し引いていません。生活費・追加履修・学費改定等は含まない試算です。

たとえば年間の修得単位を32・32・30・30単位とする計算上の配分なら、合計124単位です。各年の授業料は19万2,000円、19万2,000円、18万円、18万円。そこから毎年13万円を引くと、6万2,000円、6万2,000円、5万円、5万円となり、4年分で22万4,000円です。実際には学期ごとの履修と減免の扱い、卒業要件も大学に確認します。

これは、誰でもこの金額で卒業できるという案内ではありません。きょうだいの就職などで扶養の状況が変わることもありますし、学費が改定される可能性もあります。給付奨学金や大学独自の支援を受ける人は、それらを分けて家計に組み込んでください。

⇒ 放送大学:学費の単価

子どもを3人育てている親も、自分の学費が無料になる?

ここは、社会人の方に特に気をつけてほしいところです。多子世帯の支援は、単に「自分に子どもが3人いるか」だけで決まりません。

  • 進学までの期間:高校等を初めて卒業した年度の翌年度末から、大学等への入学までの期間が2年を経過していないことが基本です。高卒認定や個別の入学資格審査などには別の規定があります。
  • 扶養の状況:JASSOの方法で扶養する子どもが3人以上と判定され、申込者本人も生計維持者に扶養されている必要があります。
  • 資産:多子世帯の授業料等減免では、本人と生計維持者の対象資産の合計が3億円未満であることが条件です。給付奨学金は5,000万円未満という別の基準です。
  • 学業など:採用時と採用後の学業基準のほか、国籍・在留資格等の要件もあります。

そのため、高校卒業から長い年月がたった親が学び直す場合、自分の子どもの人数だけを理由に対象とは判断できません。出願する前に、これまでの進学歴を含めて大学へ相談してください。

扶養する子どもの数も、家族の人数をそのまま数えるわけではありません。申告と住民税情報で確認されます。2026年度の住民税情報を用いる判定からは、一定の条件を満たす特定親族などを数に含める扱いもあります。アルバイト収入があるきょうだいについて、古い年収の目安だけで判断しない方がよいです。

⇒ JASSO:多子世帯の判定方法
⇒ JASSO:2026年10月の支援区分見直し・資産基準

少ない科目でゆっくり学ぶ場合は、支援の継続条件にも注意

放送大学には最長10年在学できますが、学費の支援も同じ期間受けられるという意味ではありません。

大学が公表している2026年9月4日改正の給付奨学生適格認定基準では、通常の「継続」の基準として、1学年あたり22単位以上の修得と、原則として受験科目の半数以上がB判定以上であることが示されています。

ただし、19~21単位は「警告・交付継続」の区分です。22単位未満だからすぐ打ち切り、と読み替えてはいけません。18単位以下や警告が2回連続する場合などは廃止の基準に入り、病気や災害などやむを得ない事情には別の扱いもあります。成績などほかの条件も含めて判断されます。

22単位分の授業料は、現在の単価で13万2,000円です。年13万円の減免上限との差は2,000円になります。さらに、22単位ずつを4年続けても88単位なので、卒業に必要な124単位には届きません。支援を続けるための基準と、4年で卒業するための計画は分けて考えましょう。

⇒ 放送大学:給付奨学生適格認定基準(2026年9月改正・PDF)

授業料は、いったん払ってから還付される

放送大学の新規申請の案内では、授業料はいったん納入し、対象者として認定され、減免額が確定した後に還付する予定とされています。最終的な自己負担が小さくても、納付時に必要なお金までなくなるとは限りません。

新規申請の詳しい手続きは、システムWAKABAの学内連絡で案内されます。入学希望者も、事前に大学の奨学金窓口へ相談できます。申請期限と、納付・還付の時期を先に聞いておくと、家計の予定を立てやすくなります。

⇒ 放送大学:申請方法と問い合わせ先

社会人は、教育訓練給付制度も調べてみよう

大学卒業とは別に、仕事に役立つ分野を学びたい人は、一般教育訓練給付制度が候補になります。雇用保険などの受給資格がある人が、指定講座を受講して修了条件を満たすと、対象となる入学料・授業料の20%が支給されます。上限は10万円、対象は最大1年分です。

放送大学の学部で対象となるのは、選科履修生と科目履修生です。全科履修生として大学卒業を目指す学費全体に、20%を掛けてよい制度ではありません。

申し込みにも順序があります。まずハローワークで受給資格を確認し、大学の指定講座と修了条件を調べ、出願時に受講申請をします。好きな科目を受けた後で「給付金も使おう」と考えても、対象にならないことがあります。

⇒ 放送大学:指定講座・受講申請の方法
⇒ 厚生労働省:教育訓練給付金

大学独自の奨学金と、災害時の支援

放送大学は、修学支援新制度の給付奨学生として採用された学生への独自の経済的支援も案内しています。金額や支給時期の詳細は、対象者に送る通知で確認する仕組みです。自分が受け取れるか未確認の段階で、学費から差し引かないようにしましょう。

条件を限った「佐藤元治奨学金」もあります。ただし、2026年度の募集は5月22日が締切で、この記事の確認時点では終了しています。

災害による学費免除は、災害ごとに対象者・学期・被災状況・申請期限が定められます。確認した2026年度第2学期の熊本地震に関する措置も、入学料・授業料の申請期限は既に過ぎています。修学支援新制度との併用に制限がある場合もあるため、現在申し込める支援は大学に確かめてください。

⇒ 放送大学:独自の奨学金
⇒ 放送大学:災害による免除措置の例(申請期限終了)

自分が授業料免除を受けたときも、制度があると知ることが、進学を続けるための助けになりました。放送大学を考えている人も、「無償化」という言葉だけで決めず、対象条件、実際の自己負担、先に用意するお金の3つを確認してみてください。

関連記事:放送大学の学費と、働きながら大卒を目指す方法